「受付のA級、B級」

意識改革こそ急務


歯科界がいま最も熱意を込めて導入する必要のある治療は、インプラントに代表される高額治療ではありません。 「玉のような人財が歯科医院にくるわけがない」という自虐的な負け犬根性を治すための自らに対する『意識改革治療』です。 それができなければ、これから先、少子化の影響力を受けたタイトな労働市場から優秀な人材を採ることは益々困難となり、 「歯医者の受付くらいなら勤め口はあるけれど・・・」と言われて応募してくるようなあぶれ者の集団になってしまうのではないかと、真剣に危惧するのです。
そんな“高いレベルの対応力・事務処理能力”がなくても歯科医院の受付は務まるとも言えるのですが、残念なのはその程度の務まり方で佳しとされていることなのです。

A級受付とB級受付


歯科医院の受付を評価し、そのレベルにA級、B級の区別をつけるとすれば、 プロ意識を持った対応ができているか否かを以って判定することになりますが、 プロとは、誰かが取って代わって同じ品質の仕事を行うことができないレベルで、特別な品質の内容を提供できる人を指します。 そして、そのことで顧客に一種の感動を与えることのできる能力を言います。
従って受付が辞めることになったのでハローワークに募集を出し、応募してきた人の中から比較的感じの良い人を選び新しい受付に就ける。 そのようなことを2〜3年周期で繰り返している歯科医院の受付はハッキリ言ってプロの領域に入ることはありませんので、 そのような歯科医院はB級受付がころころ変わる安定感のない歯科医院という印象が定着してしまうでしょう。

A級受付の要件を整理してみました。

1. 感受性(対人感受性・対状況感受性・対問題感受性)と柔軟性に富んでいること
2. 事務能力が高いこと(パソコン操作・読み書き算盤など一般的な基礎学力)
3. 好感度の高い立ち居振る舞いが身に付いていること
4. 一般社会人としての教養を身に付けていること
5. 歯科医療に関する基礎知識を一通り持っていること
6. 院長と同じ判断基準を持っていること

採用試験には筆記試験が必要


1〜5までは採用試験の段階である程度判断できます。一般的に歯科医院での採用試験といいますと口頭試問、 いわゆる面接、それも単独面接がほとんどのようですが、この要件の具備を判定するには、面接に併せて筆記試験と作文も行うべきです。 少なくとも医院の顔とも言うべき受付の採用に当たっては、筆記試験は不可欠でしょう。

愛情を伴った前向きの叱責は部下を鍛える


叱れない院長、良い悪いをハッキリ言わない院長の下では、歯科医院はチームとして大きく成長しません。 仮に優秀な人材であっても伸び方には限界があり、 院長からの強い指導や叱責がないと本人の力量以上の伸びは見込めないからです。 そういう事例にいくつも出合っています。
人間は期待感を抱くがために叱る。愛情を持って叱るのです。愛情を感じることができれば叱責や怒りも受け入れ、 期待に沿うように頑張れるはずです。「ちょっと怒ったら直ぐ辞めてしまう」という話もよく耳にします。 最近の若者の耐性のなさを証明しているのですが、果たして叱る側の愛情の深さは伝わっているのだろうか?とも思います。

A級受付は学習と練習で必ず誕生する


A級受付は院長とスタッフがその気になって臨めば、必ず出来上がります。まず採用に時間をかけ、良い人材を発掘してください。 期待感に基づく院長の厳しさと愛情、それに医院の組織文化が後押しをすることが不可欠ですが、それらがあれば必ずA級受付は誕生します。
ヒューマンスキルもスキルという以上テクニカルスキルと同様に技術です。技術であれば練習をしなくては、品質は上がりません。
ビジネスでは人の第一印象が勝負だと言われています。歯科医院という組織の第一印象は受付が一身に背負っています。 いい加減なB級対応をしていてはいかに優秀な技術陣が揃っていても評判を呼ぶ歯科医院は出来上がりません。
電話を取った第一声で、かけた人間の心を一瞬にして魅了するA級受付の存在は、歯科医院発展のための重要な鍵であると確信しています。

この文章は、株式会社DBMコンサルティング発行「Management Club Report Aug.2010/Vol.94」
宮原秀三郎著「Monthly Opinion『歯科医院受付のA級、B級』」の内容を一部抜粋したものです




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