「歯科医院の受付はプロが行う仕事」

より上質な顧客の満足度を求めて


昨年、3件の歯科医院から連続して『受付の対応』を強化したいという要請を受けました。 いずれも立派な医院ばかりで、来患数も多く受付要員は複数体制、売上規模で見た時にも上位にランクされるようなところで、 しかも当社が継続して院内研修を実施し、それなりに高いレベルに達しているのにも拘わらずです。
院長たちの狙いは『顧客セグメントを進める上での受付レベルの引き上げ』にあるようです。 すなわち、より上質な顧客の満足度を高め、彼らの選択眼に叶う医院作りを目指そうというもので、並以上レベル程度ではそれが困難であろうと彼らは考えている節があります。 これは歯科界の新しい動きであるかもしれません。つまりただ単に明るく感じよくテキパキと、 といったレベルではない、別次元の受付を求めるべく動き出したように映ります。

他業種の受付よりもはるかに広い業務範囲


歯科医院の受付業務を以下にまとめました。
■ その医院の第一印象を受け持つ重要な役割。医院の顔
■ 来院者の抱える問題点や悩みを引き出せるような初期対応
■ 来院者を気持ちよく迎え入れ、気持ちよく見送る
■ 電話で希望日時を聞き、受信者と医院双方にベターなアポイントを入れる
■ 「来院者の迎え入れ」「電話対応」「院内スタッフとの連絡」3方向にベストな対応
■ 医院の司令塔として全体の業務をコントロールし円滑に診療を進める
■ 会計業務
■ 待合室・洗面所の保守管理業務
■ 各種提供書類の作成業務
■ そのほかの事務管理業務

これはかなり大変な仕事です。ホテルのフロントや、大企業の受付、デパートや地下街にあるインフォメーションなどで対応する、 いわゆる一般の受付業務に比べ、その業務範囲の広さと負っている責任の重さは比較にならないくらい広く重いものです。
もちろん、仕事というのはどのような内容であれ、外からは分からない大変さと、プロといわれる領域に達するには相応の技術が伴うものであることは分かります。
しかし、それでも歯科医院の受付業務に比べるとその業務範囲は限られています。 歯科医院の受付業務の8割は事務で、対応業務は2割程度でしょう。 その大変な事務作業をこなす中でホテルのフロントや大企業の対応に負けない対応レベルで来院者に接しようというのです。

安易な採用が問題


歯科医院経営者の中には、歯科医院の受付業務を軽く見ている人がまだまだ多いように感じます。 単なる“お喋り好き”をコミュニケーション能力の高さと見誤ったり、ちょっと見が「感じが良さそう」というだけで安易に採用していないでしょうか。
採用は絶対に安易に行ってはいけません。多数の応募があるとそれだけで喜んでしまい、 「大勢の中から一番良い人を採用できた」などと悦に入っている院長がいますが、 問題はその当人自身の中身です。不況の時代に応募者が多くなるのは当然です。しかし多いからと言って適任者がいるかどうかは別問題です。

歯科界に蔓延する自虐的風潮


「理想論としては理解できるけれど、そんな玉のような人財が歯科医院にくるわけがないし、実際来ないのが現実だよ」
そのような人にとっては、「一流ホテルが医院見学に来る歯科医院を目指そう」という目標や 「スタッフ全員の年俸を600万円超えにしよう」という高遠な目標を掲げる院長のことは宇宙人のように思えるのかもしれません。
それでも不思議なことは、そのような院長も自医院の売上に関してだけは、1億円や1億5000万円といったラインまでは乗せたいと考えていることです。
敢て苦言を呈しますが、 「できる限り低コストの労働力で高収益を上げる」そのような経営感覚が現在の歯科界を作り、 「そんな玉のような人財が歯科医院にくるわけがない」ことを現実の実態としてきたのです。

この文章は、株式会社DBMコンサルティング発行「Management Club Report Aug.2010/Vol.94」
宮原秀三郎著「Monthly Opinion『歯科医院受付のA級、B級』」の内容を一部抜粋したものです




メニュー