「スタッフは自らを高めよう 全4回シリーズ 第3回」

前回までに、人間の能力は知的・動的・情的な能力を示す「アビリティ」と、社会で他者との協調をはかる能力の「コンピデンス(Competence)」、 また情的アビリティにコンピデンスを加味したEQ(心の知能指数)があること、 最後に被雇用者としての「エンプロイアビリティ」という能力を紹介しました。
今回は、雇用され得る能力としてのエンプロイアビリティをご紹介します。

(エンプロイアビリティについては、神保紀秀氏の著書『非正規社員を競争力に変える法/エンプロイアビリティに気付いた組織だけが生き残れる』 <2010年4月ダイヤモンド社刊>より一部を引用させていただいております)


本当に仕事が早い人が備えるべき基本的能力


「仕事が早い」「上手だ」「手際がいい」「正確だ」
歯科医院内でもよく使われている動的アビリティの高さを称えるフレーズです。
「よく知っている」「頭がいい」「よく覚えている」

これらは知的アビリティの高さを伝えています。組織で働き、組織の求める成果を上げるためには、 これらの優れた能力を発揮することも勿論大切ですが、まずその前に組織人として最も基本的で大切な能力を備えていなくてはなりません。
つまり、 組織の仲間とうまくやって行けることや、途中で放り出さず真面目にきちんとやることが、 仕事が早かったり、上手にできたり、よく知っていたりすること以上に重要なことであるのです。
特に新人には動的アビリティや知的アビリティの高さよりも、エンプロイアビリティの高さを組織は求めているのです。

エンプロイアビリティの高い人への賛辞とは


「いつも向こうから笑顔で挨拶してくれて、その瞬間雰囲気がパッと明るくなる」
「嫌なことがあっても態度にそれを出さない」
「どんな時でも気持ちよく受けてくれるので、何でも頼みやすい」
「頼んだことは最後まできちんとやってくれるので安心」

これらの褒めことばは職場で大切な基本を正しく伝えています。その上で欲を言えば、仕事が早く、上手で、頭が良ければ良いと、雇用者や上席者は思っているのです。
人を採用するときの基本として「よくできる人やよく知っている人よりも、気質の良い人を採用しなさい」というのがありますが、 まさにエンプロイアビリティの大切さを実感させてくれる言葉です。

誰もが『最高の従業員』になれる


アビリティは勿論、努力によって伸ばすことが可能ですが、残念ながら限界もあります。 誰もがプロ野球選手やプロゴルファー、ノーベル賞学者にはなれません。 彼らにはやはり天才と呼ばれるアビリティの高さが先天的に備わっているのです。
 しかし、 コンピテンスなりEQなりエンプロイアビリティは、相当部分後天的な要素によって形成されたものです。 つまりこの能力の開花は、『基本的な考え方の軸を決めること』、『日々の意識の持ち方を高めること』、そして『ちょっとした努力の継続をすること』によってなされるものです。

そういう意味では、 『よき従業員になれる機会』は全ての人に開かれています。 『努力の継続』は情的アビリティが発揮されるところではありますが、オリンピック選手やノーベル賞学者ほどのものは必要なく、『ちょっとした努力』でよいのです。 『最高の従業員』になるかならないかを決めるのは、自分に合った職場にであることでもありませんし、 自分に合った仕事を見つけることでもありません。ましてや良き理解者である上司に出会うことでもありません。
自分自身が、「そうなろう」と決意することです。決意するかしないか、それは自分自身の自由な意思決定に委ねられています。

この記事は、株式会社DBMコンサルティング発行「Management Club Report Aug.2010/Vol.89」 宮原秀三郎著「Monthly Opinion『スタッフは自らを高めよう』」の内容を一部抜粋したものです。




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