「スタッフは自らを高めよう 全4回シリーズ 第2回」

  Ability 人間の根源的能力
人間の能力には大きく分けて2つあります。1つは、その人が根源的に持っている基本的な人間力です。 前回で登場したEmployabilityを分解したときの後の語で、「〜することができる力」で『人間の根源的能力』と呼ばれています。
根源的という意味は、「生まれながらにもっている、人と関わらない状況で発揮する能力」という意味で、それは3つに分類することができます。 動的アビリティ 知的アビリティ 、そして 情的アビリティ の3つです。
運動能力、歌唱力などが動的アビリティ、記憶力や計算力は知的アビリティ、判断力や集中力、そして気力などが情的アビリティに当たります。

天才や秀才を生み、育てる3種類のAbility


例えば世界的なアスリートや、天才的な画家や歌手などの芸術家たちは、 一般の人に比べ動的アビリティが抜きん出て高い人たちです。 一方、一人で研究に打ち込み偉大な発見や発明で特許や賞を獲得する学者や研究者などは、知的アビリティの高さを誇る代表格でしょう。
このように並外れた動的アビリティや知的アビリティによって高いパフォーマンスを発揮している人のことを世間では『天才』や『秀才』と呼んでいる のですが、彼らはまた情的アビリティの高さを有していることでも共通しています。 すなわち集中力や判断力や気力においても優れており、生来優れた動的アビリティや知的アビリティに一層の輝きを与えているのです。
天才的な働きをしている人を賞賛するとき、必ず登場する『才能だけではない努力の人』という言葉がありますが、 まさに情的アビリティの高さを言い表しており、『努力できる能力』もアビリティの内であることを言い当てています。
このように情的アビリティは動的あるいは知的アビリティを強化したり持続させたりする上で不可欠な能力 で、他にも発想力や想像力といった『機械によって代替できない最も人間的な能力』がこの情的アビリティです。 現代の多くの経営者が社員に最も求めたい能力であると言っているのもよく理解できます。

Competence 人間の社会的能力


さてアビリティと対比させられるもう一つの能力はCompetence(コンピテンス)といわれる『社会的能力』です。 人間は無人島で暮らしているわけではありません。大勢の人の中、様々な人の中で共生する、いわゆる社会生活を送っています。 その社会生活に必要な能力がコンピテンス、即ち『他者とうまくやっていく』能力です。
近年”EQ”(心の知能指数)という造語が登場しました。その言葉は既に独り立ちし定着している感さえありますが、EQとは次の5つの能力と定義されています。
EQの定義
1. 自分の感情を理解する力
2. 自分の感情をコントロールする能力
3. 自分をやる気にさせる能力
4. 他者の感情を理解する能力
5. 他者をやる気にさせる能力
このように定義されるEQとは、コンピテンスに情的アビリティを加味した能力ではないかと私たちは考えています。

『エンプロイアビリティ』という能力


さて、社会生活の中で発揮しなくてはならない能力がEQであるとすれば、企業や医院といった組織の中で発揮するべき能力もEQと言えます。 特に歯科医院では患者というどちらかといえばマイナスな問題を抱えた顧客、好んでやってくるわけではない、 やや特殊な顧客を相手にしているだけに、『EQ5つの定義』に記された中でもとりわけ4と5は大切です。患者の気持ちを理解し、患者を完治に向けて動機づけることが求められるからです。
しかし歯科医院で働くということは、やはりひとつの組織に勤務することでもありますから、 顧客との関係ばかり良好なものにしても不十分です。組織の他メンバーとも気持ちよく良い仕事ができるようにしなくては、結果としては顧客を意欲的にすることもできなくなります。
この勤務者という立場に立った時に求められる能力、雇用関係という側面に限定した能力をエンプロイアビリティと表現しているのです。

この文章は、株式会社DBMコンサルティング発行「Management Club Report Aug.2010/Vol.89」 宮原秀三郎著「Monthly Opinion『スタッフは自らを高めよう』」の内容を一部抜粋したものです。




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