「スタッフは自らを高めよう 全4回シリーズ 第1回」

  ひとつの職場に定着しない最近の就業傾向
一般的に言って、歯科医院のスタッフの入れ替わりの頻度はかなり高いものだと思います。 新しく採用したけれど1カ月で辞めたとか、ひどい時には1週間持たなかったなどという話もよく聞こえてきます。 仮に長く勤めても1年か2年。どうしてこうも単純に職場を変えてしまうのかと不思議に思えてしまうほどです。
尤も、若い人が職場に定着しないというのは歯科医院に限った話ではなく、一般企業においても、 新入社員の30%は3年以内には退職してしまうという統計結果が出ていますので。 これは1997年以来続いている傾向で、年々その比率は上昇しているようです。 最近の『個人と組織の関わり方』についてかつてのような濃密感がなくなり、 関係性が希薄になってきてしまった結果なのかもしれません。

自分に合った職場など探しても見つからない


3年以内に辞めてしまう若い人たちの退職理由の第一位は、『仕事が面白くない』だそうです。 仕事の中身が自分に合っていると思い就職したものの、現実は想像していたものとは大きく異なり失望してしまうのでしょう。 次に移った会社でも同じような失望感を味わい、更に短期間で辞めてしまう。
「自分に合った仕事は一体何なのだろう?」
そんな思いを抱えて『自分探しの旅』に出かけたりするのですが、何も得られるものはなく、 ただ時間とお金を浪費しただけで再び職を転々とする。そんな悩める若者の行動と、 意欲を喚起させられない経営者を容赦なく批判した文章に出会いました。
長野県で人材派遣会社を営む神保紀秀氏の『非正規社員を競争力に変える法/エンプロイアビリティに 気づいた組織だけが生き残れる』という本では、『自分に本当に合った会社』や『ベストな職場』、 『本当にやりたかった仕事』などというのものは、落し物や迷子のように“捜せば見つかる”ものではなく、 何かの縁で入った職場や、就いた仕事の中に意味を見出し、喜びややりがいを発見することで次第に出来上がっていく、 『自分が生みだし作り上げるもの』であるとの趣旨を述べています。
雇用者が労働者に対して期待することの基本・労働者が身につけるべき能力のことを、 MBA用語で”Employability”エンプロイアビリティといいます。雇用する”employ”、能力” ability”を組み合わせ、 「雇用され得る能力」と言い表されます。
そして経営者が求めているのは、決して高度な専門性などではなく、このエンプロイアビリティであると言えます。

家庭の中で、朝起きたら「おはようございます」、ものを頂いたり親切にされた時は「ありがとうございます」、 悪いことをしてしまったら「ごめんなさい」というように教わったものです。
もしもそのような試験問題があれば、おそらく誰しもが満点を取れるくらい正解を言い当てるに違いありません。 ところが毎日その通りのことを行動として実行しているかとなると甚だ疑問が残ります。

当たり前のことを普通にやることが大切


おそらくこのような当たり前のことを普通にやれる人というのは、職場の空気を柔らかなものにしてくれる力を持っています。 刺々しさのある職場に 一陣の爽やかな風を運んでくれるような人です。
職場の長は、『よくできる人』や『よく知っている人』を求めているわけではありません。] エンプロイアビリティの高い人を求めているのです。

この記事は、株式会社DBMコンサルティング発行「Management Club Report Aug.2010/Vol.89」 宮原秀三郎著「Monthly Opinion『スタッフは自らを高めよう』」の内容を一部抜粋したものです。




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