「サービスの本質」

  歯科医院の活性化
新人で入ってきた時にはまともに挨拶すらできなかった歯科衛生士が、1年ほど経って久し振りに会ってみると、 まるで別人かと思うくらい明るい表情で感情豊かに会話ができるようになっていて驚くことがあります。
また感受性が高く、こちらが指導する電話応対や受付対応をとても素直に受け容れてくれる受付スタッフが、 次第に受け容れなくなっていき、低レベルの受付に落ちぶれてしまう現場に出会った時などは「トップクラスの受付になれたのになあ、どうしたんだろうか」と残念に思うことがあります。
歯科医院の活性化とは、取りも直さずそこで働く人たちそれぞれの活性化でもあります。 そしてその大元は人間の気持ちにかかる部分が大きく、取り組み姿勢そのものにかかっていると言えます。

『凄腕』の死角


凄腕の料理人が経営する名店も、『味の良さ』にあぐらをかくような経営を行い、 従業員教育や店内の清潔さの向上といった点には注意が行き届かなくなっていると、 “凄腕”とは無縁の従業員までが何を勘違いしたのか横柄な態度を真似るようになることがあります。
従業員の尊大さにカチンときだしたリピーター客は、改めて店内の不潔さや店主の態度に疑問を感じるようになり、新しくオープンした別の店に気持ちを移し始めるのです。
良い評判が広まるのには時間がかかりますが、悪評はあっという間に拡大します。 人は、取って置き情報は余り語りたがらない反面、否定的評価やクレームはその2倍から3倍の人に言いふらすとされているからです。

名医の評判にあぐらをかくスタッフ


歯科界でも似たような事例があります。都内で開業している高名な院長の歯科医院でのことです。
多くの患者から高い支持を得ているその院長は実に立派なドクターで、物腰も低く人間的にも完成された方なのですが、 従業員が院長に対する支持の高さにあぐらをかき、自分までも偉くなったような錯覚に陥るのでしょうか、態度が尊大になることが多々あったようです。
患者アンケートでの不満表明にはっきりと書かれていました。現在はアンケート結果を受けて改善されましたが、 近隣歯科医院に流れる患者も多く、転院理由にそのことが明確に挙げられていたそうです。

サービスの本質


『商品内容の充実』と『利益の確保』が重要な優先課題とされた結果、できる限り低コストでの生産が続けられてきました。 コストの圧縮は悪いことではありませんし、ムダ・ムリ・ムラを一掃することは全員で意識して取り組むべき正に優先課題です。
しかしだからと言って、伝え方や表現方法は二の次でよいという感覚は私たちにはありません。こちらも同じくらい重要であり、商品開発に負けない資本投下の重要性すら感じています。 言葉や態度というのは、中身とは無縁の表面的な飾りなどでは決してなく、中身そのものを表していますし、本質そのものであるから です。
特にサービスの場合は『サービスは人の手による』というサービスの定義に徴しても、 サービス提供者の言葉や態度は正に本質そのもの なのです。

この文章は、株式会社DBMコンサルティング発行「Management Club Report Aug.2009/Vol.80」 宮原秀三郎著「Monthly Opinion『朱に交われば赤くなる』」の内容を一部抜粋したものです。




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