「“魅力ある組織”としての歯科医院へ」

  経営者満足という視点に立つ
『魅力ある組織を作る』というテーマになると、どうしても『顧客満足』と『従業員満足』について語られることが多いようですが、私は『経営者満足』に軸を取って考えてみたいと思います。


院長のスタッフに対する不満を解消する


経営者の不満の多くは主に従業員に向けられたものです。 歯科医院の場合、最近はスタッフの働きの良否が経営に大きく影響を及ぼすようになったと言われることが多く、スタッフの質に対する期待感が随分高くなりました。
その期待に応えられないスタッフに対する不満が大変多くなっています。
「当事者意識がない」「大人の常識的な対応ができない」「言われたようにしかできないし、言われたことしかやらない」
この不満をまず解消していくことが大事なのではないでしょうか。

そもそも不満に思うレベルしか期待していなかった


では何故そのような動きしかできないスタッフが集まったのか、よい人材が集まらなかったのか、多くの院長はここでつい自虐的になります。
「レベルの高い女性が歯科医院なんかに来るわけがない」
情けないセリフです。このような院長のスタッフに対する期待感はそもそも高いものではなく、 「余計なことを考えず真面目に淡々と働く女性」「愛嬌があって人当たりの良い女性」、 そしてできれば自分に成り代わって「自由診療の説明がきちんとできる女性」を求めていたのです。 その結果、一定の成果が得られた後その上を望む期待に応えられないことに不満を抱くようになります。
「真面目な対応力」⇒決められたことをやるだけで「当事者意識がない」
「愛想のよい対人対応力」⇒幼稚なだけで「大人の常識的な対応ができない」
「自費診療獲得の営業力」⇒マニュアル的で「言われたようにしかできない」

正に期待されたとおりの従業員が出来上がったわけで、彼女たちに責任があるわけではまったくないのです。 ですから、今表出されている不満を解消するためには、そもそも『自らの期待感』を変えればよいのです。

スタッフに対する期待感を高いものに変える


「当事者意識」がほしいならば、単純な労働力としての人材ではなく「 想像力に富んだ人材 」を求めるべきですし、「大人の常識的な対応」がほしいならば、愛想のよい対人対応力ではなく「 品格と教養に富んだ人材 」を求めるべきですし、「応用力」がほしいならば、マニュアル的な自費診療説明を教えるのではなく、「 柔軟性と感受性に富んだ人材 」を求めるべきなのです。
求めるもの 従来の期待感 高まった期待感
当事者意識 ×真面目な対応力 ○想像力に富んだ人材
大人の常識的な対応 ×愛想のよい対人対応力 ○品格と教養に富んだ人材
応用力 ×自費診療獲得の営業力 ○柔軟性と感受性に富んだ人材

人間の能力にさほどの差異はない はずです。期 待する側がどのように期待するかによって、その期待に応える形で能力を高め磨いていく ものなのだと思います。期待されていない人間が率先して残業などはしませんし、床に落ちているゴミにも気を留めないでしょう。
しかし 原石も期待感を持って磨けば宝石へと変わる ことを信じて接しようではありませんか。それが院長自身の不満を解消していく最良の手法なのです。

スタッフに伝えるべき『自分たちの仕事の価値』


歯科医院を『魅力ある組織』にする上でもう一つ重要なポイントがあります。 スタッフに自分たちの仕事の価値を熱く伝えることです。 仕事の価値には、技術的価値、経済的価値、社会的価値がありますが、この中で院長が忘れるのか意図してなのかわかりませんが、経済的価値についてほとんど伝えることはありません。

収益構造をきちんと伝え、原価意識や収益拡大への意欲を持たせることが大切です。 そこを抜きにして「電気代がもったいない」「材料を無駄にするな」とガミガミ言うだけでは本当の効果は上がらないでしょう。
自らの経済的価値を理解したスタッフに権限と責任を与えれば、当事者意識が生まれ仕事に対する面白みを必ず感じるようになり 、無駄は減り売上げは増大方向に動き出し 技術的価値と社会的価値が加われば組織に対する愛着と誇りが生まれ ます。そこにます。それこそが『 魅力ある組織 』の原点に他ならないのです。
無教養な売上至上主義や利益第一主義は醜悪ですが、経済的価値を頑なに覆い隠し、 技術的価値と社会的価値だけを唱えるのもまた醜悪です。真に『魅力ある組織』としての歯科医院への発展を目指すのならばこの3つの価値を明確に伝えて行くことが大切なのです。

この文章は、2009年10月25日株式会社DBMコンサルティング10周年記念会「強い組織を作る」
代表宮原秀三郎講演『“魅力ある組織”としての歯科医院へ』の内容を一部抜粋したものです。
(Monthly Opinion<<10周年記念「強い組織を作る」>>Oct.2009/Vol.82に掲載)




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