「意欲のあるスタッフが復職するために」

  休業中の情報提供・学習支援
職場に復帰してみたら新しい機材やシステムなど、知らないものや知らない人たちが増えていて、まるで浦島太郎になったかのような錯覚を覚える人は大勢いると思います。
このような状態に陥った場合、急激にモチベーションが下がり折角復帰したにも拘らず直ぐに退職となるようなことは少なくないようです。
あるいは出産で一旦退職し、その後数年経って復帰するケース。 そうような場合、中々復帰を決断できないでいることがあるようですが、 それもやはり“浦島太郎症候群”と言えます。特に技術革新の激しい歯科医院では歯科衛生士によく起きがちなことです。
そこで、 復職までのサポート体制を院内に構築し精神的にバックアップしていくこと が必要になります。具体的には、院内での新しい決定事項や新機材の導入、 新技術への取り組み状況、そして業績や人事に関することを月次ベースで送ったり、お互いの情報交流を図ったりといったことです。これは低コストですので実施しやすいと思います。

短時間勤務制度


育児に関わる職員については、歯科医院においては、出産−退職−復職=パートタイマー といった形での雇用が多いようですが、 一般企業ではパートタイマーではなく正規雇用社員のまま勤務時間を2〜3時間程度、30分単位で短縮できるように設定しているケースが多いです。
今後は介護に関わる男性管理職社員にも適用されるケースが出てくると思われます。 有為な人材をパート社員にして、意欲をそぐような愚を犯すわけにはいけない からです。
それは短縮された時間分の給与の扱いをどのようにするかという問題とも関係してきます。私は、給与は機械的に計算し、仕事の成果を見て賞与でカバーする方法が周囲の理解も得やすく、 誰もが納得するやり方ではないかと思っています。
歯科医院でもチーフ歯科衛生士や、管理職スタッフが育児や介護に関わるようになるケースが多くなるでしょう。 そのような時、本人が望むのであれば別ですが、できれば後に続く後輩たちの励みになるよう、 復帰後もチーフやマネージャーといった従前の役職のまま正規職員として扱い、短縮時間勤務制度の下、超効率的な仕事をこなすことで医院に一層貢献してもらうような制度にするべき ではないかと思います。

一般企業の実例

2010.4時点
広島銀行 子どもが小学校4年生になるまで勤務時間を通常の約8時間から5または6時間に短縮できる。
勤務日数を毎日勤務または月当たり17日勤務か選択できる。
京都銀行 希望により、育児休業終了後1ヶ月間は、所定労働時間を1日2時間短縮できる
時間外勤務免除の対象期間を子どもが小学校就学前までとする。
三越 正社員と有期雇用従業員を対象に、妊娠中または小学校3年終了までの子どもがいる場合、1日約5時間などの短時間勤務を認める。

再雇用制度


歯科医院の採用を見ていると、『即戦力』を狙った経験者の中途採用が大変多いように感じられます。 以前から主張してきましたが、他医院での経験者は確かに『即戦力』ではありますが、そこだけに目を奪われて、『人間の質』を見落としてしまい失敗することが多々あります。
しかしかつて勤務していて出産退職したスタッフは『人間の質』においても信頼でき且つ『即戦力』でもありますので、このような人たちを再雇用することは大変有意義なことです。
是非、 新人を採用するときから、再雇用制度の存在を明確に強く打ち出し 、「長く勤務できる」、「一生の職場とすることができる」そのような意欲と 責任を持てる人財を最初から集めていく ことが大切だと思います。

一般企業の実例

2010.4時点
サントリー 『ジョブターン制』育児や介護を理由に退職した勤続3年以上の社員を対象に、10年以内の復帰を認める。
凸版印刷 出産退職した勤続3年以上の社員が対象。再雇用後は6ヶ月の契約社員期間を経て正社員に。
INAX 『カムバックエントリー制度』結婚や育児などやむを得ない事情で退職した社員が対象。採用選考に通過すると正社員として再雇用。退職から1年6ヶ月までに復職した場合は退職時の資格や処遇を引き継ぐことができる。
東レ 『再就業希望社員登用制度』結婚・出産・育児・配偶者の転勤を事由として退職した、勤続3年以上の社員を対象に、最長10年間、再就業希望者として登録でき、復職時には職務内容により正社員か嘱託社員かを個別に決定する。

この文章は、株式会社DBMコンサルティング発行「Management Club Report Apr.2010/Vol.88」より
宮原秀三郎著『ワークライフバランスの実践』の内容を一部抜粋したものです。




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