「朱に交われば赤くなる」

 ワンパターンとなった薄っぺらな顧客対応が蔓延
「宮原さーん、宮原秀三郎さーん中へどうぞー」
このように名前の後ろにさらにフルネームまで付け加え 語尾を延ばした言い方で呼ばれて部屋の中へ入っていくのはどういう場所でしょうか。 ほとんどの人が大きな病院を思い出すことでしょう。 あるいは「採用してもらいたくて面接の順番を待っていた会社か劇団」でもこういう呼ばれ方をされるのかもしれません。 もし、「ウチの歯科医院」と答えられると困るのですが、無きにしも非ずでしょう。
フルネームでは呼ばないまでも「3番でお待ちの宮原さまー、どうぞー」 人気のレストランで順番待ちのリストに名前を書いて待っている時なども、 やはり決まったセリフがあるかのようにこう呼ばれます。
共通項は「診てやるよ」「雇ってやるよ」「採ってやるよ」「食わしてやるよ」など、 待っている方の立場が下であったり弱かったりする場合、 あるいは相手がそのように見ている場合にこのような呼ばれ方をされます。 そして更にそこでのルールに従わされるのが常です。

マニュアル言葉は指導のせい?


このような言い方がはびこっているのは、その店や病院の経営幹部が、そのような指導をした結果でしょうか?
おそらく話すべき内容や、明るく明瞭に元気よくといった声のトーンなどについての指示はあると思いますが、 事例に出したような言い方で話せとは恐らく指導していないと思います。
そのような言い方が実は 「知的でない」、「幼稚である」、「マニュアル的で個別感がない」 などと考えることもなく、一般的なサービス業や小売業で日常耳にする言い回しを、自然なものとして受け入れてしまっているため、 幹部職員ではあっても「問題意識すら持たずに放置している」 というのが実際のところではないでしょうか。

人間の行動を支配する『集団規範』


このようなことを『集団規範』といいます。法律や何らかのルールで決められたわけではなく、 人間が社会生活を営む上で自然と従ってしまっている『暗黙の了解事項』のことです。

良い集団規範があるかないかが分かれ目


まっとうな職種、知的な職種で教育訓練の行き届いた職場においては正統なイントネーションの標準語が使われています。
テレビ局のアナウンサー、一流ホテルの従業員、一流企業の秘書課や受付、航空会社の客室乗務員 、そして 当社の顧問先歯科医院のスタッフ (エヘン!)などなどホンモノは健在なのです。
このような職場ではすでに言葉遣いや態度についての良質な集団規範が出来上がっています。
後に、新人が入ってきましても、身嗜み、言葉遣い、態度など、すべての基本が院内に出来上がっていますので、 必ず同じレベルに揃ってきます。
正に『朱に交われば赤くなる』の例えどおり、集団規範に従っていきます。もちろん、悪い集団規範の場合も同様です。
院内研修を行うと歴然とそれがわかります。 全員が真剣に講師の話に聞き耳を立て、言わなくても必ずメモを取る医院もあれば、 筆記用具の準備すらしない医院もあります。どちらが活性化しているか言う必要はないでしょう。

この文章は、株式会社DBMコンサルティング発行「Management Club Report Aug.2009/Vol.80」宮原秀三郎著「Monthly Opinion『朱に交われば赤くなる』」の内容を一部抜粋したものです。




メニュー