歯科コンサルタント宮原秀三郎のMonthly Opinion「『人材』は『資源』か『資本』か」  |  歯科求人情報サイトでんたろう

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「『人材』は『資源』か『資本』か」

ワークライフバランス(WLB)


2010年2月14日の朝刊に次のような見出しで政府の方針が伝えられました。
『ワークライフバランス実践企業入札で優遇』
ワークライフバランス・WLBは仕事と生活のバランスという意味ですから、 何も生活面の充足ばかりを目指そうというのではないでしょう。仕事の効率や結果、そして成果といった経営サイドから見た要素も含まれているのですから、 一生懸命に仕事に取り組み、個人の生活も充実させよう、そのためには仕事ばかりに偏ってもいけないし、 個人生活を優先しすぎてもいけないし、両方を充実させるために組織と個人がうまく折り合いをつけて行こう という考え方だと思います。

企業マネジメントに変化


かつての組合活動の成果と、女性の社会進出の活発化が労働環境を次第に変えて行ったのですが、 工業化社会の終焉という社会経済構造の変化は企業マネジメントのあり方をも変えることになります。
サービスマネジメントという言葉が登場し、サービスはマネジメントする対象となってから、 サービスの担い手であるヒトの働きが大変重要になりました。そこで登場してきたのが新しい人材マネジメントです。

『人材』は『資源』か『資本』か


かつて工業化社会における人材マネジメントの基本は「決められたことを言われたように間違いなく遂行する」 人材の育成にありました。それが同じものを大量に生産する上で欠かせない従業員の資質だったのです。 これをヒューマン・リソース・マネジメントといい、日本語では『人材資源論』と訳されています。
『人材資源論』と『人材資本論』の違いは、人の能力に対する期待感の違いです。一方は資源ですから有限です。 一人が発揮できる資質や能力には限りがあるという考え方に基づいていますので、 もくろんだ生産量を生み出すのに必要な労働力を投下することになります。「10の生産に10人を投下する」考え方です。
他方は資本ですから、将来の可能性にかけるという視点での人材マネジメントです。 一人が発揮できる資質や能力は無限であるとの考え方ですので、場合によれば10の能力が100にもなる可能性を秘めていることを信じようという発想です。
そうしますと、人材マネジメントは『管理』ではなく『支援』という概念で捉える方が無限大の可能性を追求するにはフィットしています。

生活者の視点を持つことで顧客ニーズを引き出せる


人材を『資本』として見る考え方が主流になって来た背景は、 『真の顧客本位』へと向かう産業構造の変化 にあるのですが、その変化を平たく言うと
「大多数の消費者が均一的に求めていたモノを提供する」PUSH型
から、
「一人ひとり異なる顧客のウォンツを引き出してそれに応えていく」PULL型
にビジネスのやり方が変わった
ということになります。
その変化に適応していく為には、顧客に対する第一線の社員に顧客と同じ目線での思考や発想がなくてはならなくなりました。 すなわち生産者目線と生活者目線の両方を持ち合わせ、それぞれに鋭い感性と想像力を発揮できる人間でないと務まらなくなった のです。

WLBは経営的発想によるマネジメントシステム


WLBの肝は、この『生産者目線』と『生活者目線』両目線のバランスを育成することにあります。 仕事に責任を持ち、仕事の成果と効率を考えながら一生懸命努力することも必要ではあるのですが、 仕事にだけのめり込み、生活の潤いや余暇の楽しみを大切にしない人間には、 生活者の期待に応えて、問題解決に共に当たり、生活者を支援することは難しい。ということに多くの経営者は気付き始めたのです。
すなわち、WLBの導入は実は経営者側のマネジメント発想であるとも言えるのです。 確かに労働者サイドに立脚した労働環境の改善ではありますが、 従来の単なる福利厚生や組合要求的労働環境の改善とは大きく趣を異にする、経営者サイドにしっかりと軸足を置いた『人材資本』の品質向上を目指したマネジメントシステムなのです。

真実の瞬間の価値を求められる者


長時間労働で疲れ切っている上に、仕事のことで頭が一杯のサービス提供者に、 生活者の目線でモノをハッキリと見ることができるでしょうか。生活者のポジションに立って感性豊かな提案ができるでしょうか。
それらしい演技はできるでしょうが、おそらく共感を呼ぶほどの名演になることはないでしょう。
サービス提供者はサービスの生産者ではありますが、サービスの購入者である顧客と同じか、 あるいはそれ以上に研ぎ澄まされた生活者の目を持っていなくてはならないのです。 顧客が購入意思を固める決定的瞬間である『真実の瞬間』を真に価値の高い瞬間にできるのは、 優れた生産者としての技量と、研ぎ澄まされた生活者の感性を持った、余裕のあるサービス提供者のみである と確信しています。

この文章は、株式会社DBMコンサルティング発行「Management Club Report Mar.2010/Vol.87」
宮原秀三郎著「Monthly Opinion『ワークライフバランスの導入』」の内容を一部抜粋したものです。


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(株)DBMコンサルティング

代表取締役 宮原 秀三郎

PROFILE
・1973年同志社大学経済学部卒
・建設会社を経て1980年株式会社ジャパンデンタル入社
・東京、札幌、仙台支店長、本社企画部長を歴任
・1999年同社を退職
・同年(有)DBMコンサルティング(現株式会社DBMコンサルティング)を設立
 歯科専門の金融知識に加え組織開発ノウハウの提供を開始
・全国歯科医師会、歯科大学同窓会、歯科関連企業講演会講師
・2000年より7年間アポロニア21(日本歯科新聞社)に歯科経営論を連載
・2001年『歯科医院経営の再生良法』(デンタルダイヤモンド/共著)
・2004年より2年間『デンタルダイヤモンド』誌上座談会連載
・2005年『自分でできる歯科医院経営チェック』(デンタルダイヤモンド/監修)
・2007年『保険マイナス改定、打つ手あり!』(デンタルダイヤモンド/共著)
・2009年 10周年記念セミナー開催 株式会社となる
・2010年『 D☆STYLES 』を開設

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宮原秀三郎の「Monthly Opinion」


株式会社DBMコンサルティング宮原秀三郎社長
(株)DBMコンサルティング 代表取締役 宮原 秀三郎

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 歯科医院の品格をより向上させるため「D☆STYLES」を立ち上げ、顧客にとどまらず歯科業界全体の品位向上・よりよい環境作りに尽力している。
 この連載は、 「D☆STYLES」 の前身となった「Management Club Report」で掲載されていたニュースや身近な事例を交えて近年の歯科医院を取り巻く問題と解決をわかりやすく示し好評を博した連載から内容をピックアップしたもの。

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